「… 白石はまだ来てないわ。遅刻。」

そしてコートではキャプテンの鈴木が大成の11番の女に言い返した。

「なんでや?アイツが試合当日に遅刻なんかせぇへん。」

「……!まさか同中?」

「そや。王子中出身のーー」



「白石未茉、只今到着しやしたぁぁあ!!!」


-ーその時、試合開始一分前。
‘整列’の掛け声がかかると未茉の声と共に同時に扉は開いた。


「「白石っ!!!」」


髪はボサボサに乱れ、顔は汗と涙でグチャグチャになりリュックを握りしめながら、真っ赤な顔で今にも倒れこみそうな過呼吸で体育館に飛び込んできた。


「来たな。来なければうちの200点勝ちやったな。」
大成の11番の茶髪女は笑うも、


「本当に……はぁはぁすみませ……はぁはぁ……」
「謝るのも言い訳もあとだ!!!とにかく五分で支度しろ!!五分ですぐ出す!!いいな!?わかったな!?」

野村監督に控え室ですぐ着替えて来るように命じられ扉を開けダッシュで控え室に走った。


「未茉ちゃんっ!!!」

控え室の前の廊下で名前を呼ばれて、腕を捕まれ振り返ると翔真が立っていた。

「しっ……翔真…?!」
まさかいるとは思わず驚き、声が上ずった。