「椎名さんは明徳のベンチじゃないの?」
「あ、うん。女子バスも二三年だけしか連れてって貰えなくて残念ながら一年は今日はお休みなの。」

「一年なら明徳のジャージ着て応援席の方行って盛り上げなくていいのか?ほら何人か来てるじゃないか。」
マイクが反対側の明徳のジャージ応援席を指差す。

「あっ…そうだったんですね!?そういう仕組み全然分からなくて…とにかく今日は白石さんの応援精一杯したいなって思って来たら、たまたま翔真君を見かけたから……」

(たまたま、ね。)
マイクは引っ掛かった言葉になんとなく状況を悟る。

「大成、背高い子多くないですか?」
それよりもコートを見ていた翔真は大成女子の高さが気になった。

(話途中なのに…しかもお洒落してきたのに全然見てくれない…)
あっさりと話をそらされた椎名は、それでもめげずにニコッと口角をあげながら二人の会話に耳を傾けた。

「of course.うちにみんな転入してくる奴は才能はもちろん体格も恵まれた者ばかりだよ。」

「なんか男子よりも高そうな子多いような…」
「ああ、センターの奴は185センチある。男子と変わらないな。」
「185…!」
「しかもシルエットも男並にガッチリしてるしな。多分明徳の女子なんか吹っ飛ばされる。しかもな、お前のとこの白石のように今年一年で唯一スタメン取った物凄い逸材がいる。」

「へえ。」
「アイツだ。」


マイクが指差した先に大成のユニフォーム11番を背負った182センチの長身の女が-ー

ダンッ!!!

アップ中にも関わらず物凄いジャンプをし、ダンクシュートを決め、

ーーザワッ!!!
「女が……ダンク!?嘘でしょ!?」
「何……何者なのあの一年-ー!」
会場もコートの中の明徳部員は目が覚めるような光景に凍りつく中、その女は明徳部員を見渡しながら言った。


「白石未茉は、なんでおらへんの?」