「おっはよー!
って、まだ誰もいるわけないかっ」

朝8時前の休日の体育館に到着すると朝のひんやりした空気の中、勢いよく扉を開けると、

「あ、橘さん!」
「おお、白石おはよ!」
そこには時期キャプテンの呼び声高い男バス二年の橘(たちばな)が一人でシュート練をしていた。


「今日は大成戦だろ?」
「おう!!女子も勝って帰ってくるから楽しみにしてくださいっす!!!」
「ははっ!!威勢がいいなぁ白石は。おう!楽しみにしてるよ!!」
「おう!!」
ニッとピースしながらボールを取り出すと、

「ん?何やってるんだ?」
橘は練習を始めようとする未茉を不思議そうな顔で見てくる。

「何って練習…」
「いやいや、そんな暇ないだろ?さっきキタローも慌てて用具取りに来てすぐ駅に向かってったぞ?」
時間大丈夫か?と確認されて、

「ああ!!キタロー、もしかしたら時間と場所変更になったの知らないのかも!!今日朝、連絡あってよ!!」
やべ、携帯持ってきてないから伝えられないなと焦ると、

「そうなのか…?」
朝から変更連絡なんて珍しいなと思いながらも、

「9時30分か…」
そろそろ誰か来てもおかしくないんだけどな。と時計を見上げて少しずつ不安になってくると、

「白石!!!やっぱりその連絡おかしいぞ!!」
はぁはぁっと息を切らして橘は未茉の元にはしってきて、
「え?」
「おかしいと思って、今監督に電話したら時間の変更も集合時間の変更もしてないって!!!」

「えぇえ!!?」