無事に明徳学園高校への進学が決まると、春休みの間、入学までの間の新入生の部活への参加は許可され、
「おっはよぉございまぁぁすっ!!」
未茉は元気よく、体育館の扉を開くと、
「なんだよ誰もいねーのか。」
気合いが拍子抜けすると、窓を開けて倉庫らしき扉を開けてモップを探し始める。

「あっれぇー!!どこが倉庫だよぉ!?」
ガタンガタンと音を立てて扉という扉を全て開けて隈無く探してくもモップが見当たらない。

「何してるの?」

そんな未茉の姿に後ろからひょこっと顔をだす。
「ん?ああ、モップがねぇーんだよ!モップが。ボールもどこにあんのか誰もいないからわかんねぇーし。」

「モップは確かこっちだよ。」
そう優しく教えてくれたのは、
「あれ。どっかで会ったけ?!」
すっかり忘れていたがそのデカイ身長でうろ覚えな記憶を未茉は辿る。

「学校説明会で会ったよ?」
「ん…ぁああ!!あのすげーダンク決めてた奴か?!」
ようやく翔真の名前と顔を一致して手を叩くと、
「うん。そう!」
忘れていたことなんて腹を立てることもなく、嬉しそうに笑うと、

「わりぃ、勉強ばっかしてたからよぉ~最近の記憶は数字と図形ばっかだぜ。お前もここ受かったんだ?!」
「うん。俺、湊翔真(みなとしょうま)。宜しく。」
「おう!!湊な!名前似てんな!あたしは、」

「知ってる。白石未茉ちゃん。」

「おお!よくご存知で!」
「自己紹介してくれたから」
「そうだっけ?わりぃ」
「‘翔真’でいいよ。」

「オッケー、翔真!綿菓子みてぇな髪型に可愛い顔して今度はちゃんと覚えたぜ!」
190センチのがっちりとした体格とは真逆で、色白で端正な顔立ちで地毛なのだが栗色のふわふわとした軽い天パの頭は美味しそうな綿菓子のようにしか見えない未茉だった。
               
「綿菓子……」
あまり嬉しくないが、覚えてくれたならいいかと呟く。