黙々と数十分……
ただお互いに脇目もふらず一心不乱にリングにボールをいれリバウンドを取り続ける。
解散したはずなのに監督も部員も、コートの外から二人を見つめていて
「……はぁはぁ…」
外に出たボールを取りに行った鈴木は、未茉のプレーに翻弄され、息があがりもう顔をあげられないまま、足も動かなくなっていた。
「1on1…明徳に入って初めて負けた…しかも一年に……」
膝を抱えながらも妙に清々しく汗を拭い、
「しかもぼろ負け……はぁ……キャプテンのプライドどうしてくれんの?」
「へへっ…!」
その言葉に未茉は疲れを忘れて少し笑った。
「…大成女子のキャプテンがあんたみたいな感じで……はぁはぁ……絶対止めらんないの」
三年の部員も、監督もその悔しさを感じるように鈴木の声に耳を傾けていた。
「二年連続負けっぱなしで、最後まで負けたくない。だから明日はインターハイだと思って挑むから。」
「おう!オッケー!あたしも大成には負けたくない人がいるんだ!」
「そう。」
ポンッ!と明徳ユニフォームの背番号7を叩き、エースの証を鈴木は優しく叩き、
「明日は白石を信じてるから。」
「あ…ありがとうございます…!!」
明徳に入部して、初めて何かを認めて貰えたような気がして、嬉しさが込み上げてきて満面の笑みに変わった。



