「なんだよ急に白石の指揮上達したじゃん!」
「こりゃもしかしたらうちのクラス結構いいとこまでいくんじゃね?」

合唱コンクール当日。教室で二組の生徒達はわいわいと緊張もせず賑やかに会場入りの時間までを待つ。

(バックンバックン!!!)
バスケでも緊張しない未茉は今にも飛び出そうな心臓の音を響かせながら。

「何、お前。まさか緊張してんの?」

イヤホンで音楽聞きながら最終確認するも、緊張でガチガチに顔を強張らせて指揮棒をロボットのように振る未茉にに結城は苦笑いを浮かべる。

「なんだかんだみんな歌上手いし、椎名さんのピアノは上手だしなんかこのクラスの命運の行方はあたしにかかってる気が……」

「らしくねぇー」と笑う結城と三上に
「あ゛ぁー緊張しすぎて吐きそうー」
「分かった分かった見ててやるからほれ、最初からやってみろ」
「うー」

イヤホンで曲を聞きながらずっと指揮棒振ってると、翔真が実行委員から戻ってきて、

「何なんでそんなカチンコチンなの?」

片方の耳からイヤホンを取り、自分の片耳に付けて、彼女の背後に回った翔真の大きな身体は、未茉の体をすっぽりと包み込み密着させ、一緒に指揮棒を振ってあげる。

「ここは、大きく振る」
「あい。」

ーーざわっ…!!
その二人の自然すぎる大胆な光景に思わず見てるこっちが照れるが視線は釘付けで、クラスメイトはざわめく。