「じゃ、またな」
「おー翔真またな。」

駅までの道のりはまだあるのに突然翔真だけは角を曲がり結城達と別れてしまった。

「え、湊君って駅じゃないの?」
「あーコンビニ寄って白石と帰るんだろ。」

「えっ?!だって白石さんまだ練習……」
「うん、コンビニで待つんじゃん?よくわかんねぇけど。」

(そういや湊君、荷物持ってなかったかも……)
まさかな計算外の出来事に焦るも、
「こ…コンビニで待つって何時間も?!」

「さぁーよく知らねぇけど、終わる頃いつもなんか買っててやってんじゃねぇの?」

結城はどうでもよさそうに答えるが、
(あのハイレベル湊君を待たせた挙げ句差し入れするなんて……なんて贅沢すぎる女……!!
湊君ファンが知ったら絶対にキレるに決まってる!!!)
椎名は怒りとパニックが同時に押し寄せた後、

「私、教室に楽譜忘れてきちゃったから取りに行くね!またね、バイバイ」と二人と別れると、足早に体育館へ戻っていく。

「分かりやす。」
そんな彼女の後ろ姿に冷静な三上は呆れたように呟く。
「え?何が?」
「いや、気づけ・・・」
特に何も考えてない結城に冷ややかに突っ込む。