「白石さん!」
「あー椎名さんお疲れ様!」
だいぶ遅れて体育館にやってきた未茉は鈴木キャプテンに大目玉をくらい、練習に合流すると椎名が駆け寄る。

「心配したよ!なかなか部活来なかったから…」
「実はいつの間にか寝ちゃっててよ。」

「えっ!?でも…だってさっき湊君と一緒に来なかった?」
「ああ、翔真も一緒に寝ちゃってたみたいでよ。」

「えぇっ!?一緒に寝たって…!!?」

「あ、」片付けを始めようとしている二年の先輩達に気づき未茉は駆け寄って、
「自主練するので片付けは自分でやります」
その言葉を聞き、

「居残りするの?だったら私もしようかな。」

「帰るの遅くなると親が心配するぜ?大丈夫か?帰り道危ないし。練習なら朝練の方がいいんじゃない?」

(あれ?警戒されてる?まさかね。そこまでの賢さはないはず。大丈夫。少しずつ距離を縮めてけば…)
「だ…大丈夫だよー!だってそれを言ったら白石さんもそうじゃん。あ、そっか。いつも湊君達に送ってもらってるから安心か。」

「送ってもらってるとかじゃねーよ。一緒に帰ってるだけだよ。」

「でもいつも帰る約束してるんでしょ?ほら今日とかも…。」
「そんな面倒なこといちいちしてらんねぇよ。適当だよテキトー」

未茉は黙々とシュート練を始めると、結城達が横を通りかかり、

「白石練習してくの?頑張れよー」
「おーさんきゅー」

帰ってくBIG3達に片手をあげるも、キタローにパスを出してもらってすぐにドリブルシュートを繰り返してく。

(あれ……今日はBIG3は一緒に居残りしないんだ。)
椎名が男バスのコートに目をやると二、三年の数名しか残ってなくて、更衣室に入ってく翔真達を見て、

「白石さん!じゃ私帰るね!また明日!頑張ってねー!!」

椎名がそう声を出すと「さんきゅー」と相変わらずゴールを見つめながら片手だけあげて返事をするのを見て、
(なんか本当に男みたい。あんな感じじゃ、もしかしたら湊君も本当に男友達といる感覚なのかも。)