「白石さんの指揮下手すぎー!!」
「どこ見て歌えばいいんだよー」
クラスメイトからは散々たる野次を飛ばされがっくりと肩を落としながら多目的ホールで未茉は居残り練習に励んでいる。

「あ、またあわなーい!」

ピアノの演奏に追い付いていかないのだ。椎名に手伝って貰うのは気が引けiPadから流れるメロディーに合わせて指揮棒を振るが

「むぅー!!ぐぁぁああああっ!!」

最終的に上手くいかずイライラが募りぐちゃぐちゃに指揮棒で空中を切り裂く。

「白石ー!!まだ練習してんのかよー!!下手くそ」
部活に向かう結城達が通りかかりまだ練習してる未茉に野次を飛ばすので、

「うっせぇ!!ばぁーか!!」
‘イーッ!!’と歯茎を見せて野次を飛ばし返した。

「おいっ翔真っ!お前は練習だろっ!!」
「えー…」
未茉の元に行こうとした翔真は結城や三上にがっちりと腕を捕まれ行かせて貰えず、

「お前はすぐ隙あらば白石の元へ行こうとするからな。」
「えー…」
眉を下げて悲しがる翔真は抵抗も空しくずるずると体育館へと体を引きづられていった。

その後ろにいた椎名は未茉の方を見るもサッと隠れ翔真の後をついていき、

「湊君。コンクール練習、音楽室いつ空きそうとかって実行委員会で決まった?」

「ん?いや。三年が優先だから。」
「そうなんだ~あ、あとさぁ……」

何気なく翔真の後を付いてく椎名の姿を見て、キタローは眉をひそめながら見ていると、
「おわっ……!!怖ぇーよ!!俺に呪いを飛ばすなっ!!!」
その怨念を感じ結城は隣でひっくり返りそうになると、キタローはポケットから数珠を取りだし

「おわぁあっ!!なんだそれ!!こえぇ!!呪われる!!!」
(臭う…やはり。)
パニックになり三上に抱きつく結城を無視し、只ならぬ念を椎名から感じ取ろうとしていた。