「凄いー!白石さんって男の子みたい力持ち。私なんて両手でも息があがっちゃう。」

「男になりたいもん。椎名さんは本当に女の子って感じだよね。モテんじゃね?」

そう言われると仕度を終えてやってきた翔真をチラッと見て、

「うっ…ううん!!!私なんてそんな全然っ!!!」
「そおか?」

「うん!白石さんの方がモテるでしょ?この前なんて隣のクラスのサッカー部の人とか噂になってたし!」
「そうなのか?つーかモテねーし。」
そこへ翔真が隣にやって来て、未茉が持っていたキーボードケースをひょいっと持つ。

「なに、なんで取るの?」
「振り回すからさっきからケースの角が当たってる。」
「え・・嘘っ」
「うん。」

(当たってないけど…)と椎名は思いながらも、
「あ、じゃ湊君、私がもちます!」
「ん、大丈夫だよ。」

「まっ、いーやじゃ翔真持っててもらえば♪ラッキー!」
今度は指揮棒を振り回して結城とおっかけっこしてる未茉を唖然としながら椎名は見ていると、

「あはははっ」と普段あまり喜怒哀楽を見せないゆるキャラの翔真が隣で大きな声で笑ったので驚いて顔をあげると目が合い、

「未茉ちゃん面白いでしょ?」

「えっ!!あ、はい…」
「一緒にいてあきないと思うよ。」

バスケの時も普段の時も見たことない特別優しい翔真の表情に椎名はまた驚いた。