「中学ん時、いつも禅と1対1時なんかアイツとボールの取り合いになった時なんか、両手でボールごとあたしの体吹っ飛ばして壁に叩きつけられたこともあったんだぜ?あれはさすがに痛かったな~」
「あははっ!!」
想像つくと翔真は腹を抱えて笑った。
「‘コートにいる先輩は女ってこと忘れてしまうんです。’って言いながら何度スクリーンアウトであたしに怪我させたことか、数え切れない。」
「すげーなぁ。」
「男バスいーよね。パワープレーしたいなあたし。体がやわ過ぎる。鍛えねぇとな」
羨ましくも、悔しそうにため息つく未茉の手当てを優しく施しながら、
「…心は誰よりも強いよ。」
何となく気落ちしていた自分にそう言ってくれた翔真の言葉が嬉しくて、顔をあげると、いつにも増して優しい目を向けていてくれて
「ありがとっ、大好き翔真!」
ぎゅっ!!と目の前にある体に思いっきり抱きついた。
「うん。」
と返事するも気づくと、ユニフォームとはいえ薄着で前から中腰で抱きつかれると、
(なんかヤバイ態勢……)
湿布を貼ってた手がフリーズするも、
しっぽ振って抱きついてくる犬みたいに愛らしい未茉の頭をよしよしと撫でる。
“キタローぉ~!!”
ふとキタローに抱きついていたことを思いだし、
(う~ん。同レベルなんだろうなぁ・・・)
嬉しくも複雑な思いの翔真であった。
「……すご…」
一方、保健室の扉の影から密かに椎名が真っ赤な顔をして何とも言えぬその距離感の二人を見ていた。



