「失礼しまぁーす!!」

保健室の扉をガラッ!!と勢いよく未茉は開けると、
「やっぱもう先生いない!しかも締め切っててあっつー!!!」

まとわりつく湿気に窓を開けて椅子に座ると余計にゲーム直後の熱気と滴り落ちる止まらない汗が全身を伝い落ち、

「あぁもう限界!!」とユニフォームを脱ぎ出す。

消毒液とテープに湿布を用意してた翔真が未茉を見て「脱ぐな。」と自分のタオルを投げた。

「インナー着てるって。」
「だめ。」
「なんで翔真しかいないじゃん。」
「だからだよ。」
「は?」
ぶぅっと膨れっ面して睨む未茉は、

「女ってめんどくせー。」とブツブツ言いながらタオルを借りて再び汗びっしょりのユニフォームを着出す。

ため息つく翔真が未茉の前髪をあげ、タオルでたんこぶ周辺の汗を優しく拭いてく。

……ジッと、おでこを覗き込む翔真の顔が未茉の視界いっぱいに広がるので、

「近っ」と言って未茉は笑った。

「うん。」翔真もつられてふんわりと笑った。


「てか、よく気づいたね。」
「気づくよ。」
「ふーん。」

「自分も気づいてたから前髪で一瞬隠さなかった?」
「なんか膨れてると思ったけど反撃したかったらさー」

「ははっ」と翔真は笑った。