「矢野っ!!!なんで外にパス回さねぇんだ!!!今のでお前シュートにいけるのか!?!!!」
何度も何度も野村監督の苛立ちの声が体育館中に響き渡った。彼女はうまく答えられない焦りと、期待からの重圧に、とっさの判断がうまくいかず
ーーーキュッ!!!
リング下でシュートに行く未茉のユニフォームを後ろから思いっきり引っ張ってしまう。
「ーーーー白石!?」
「あぶなっ……」
その時、うまい具合に足が絡まり体が浮いた未茉は床にたたきつけられた。
ーードンっ!
ピーーピッピッ!!「タイムタイムっ!!」と審判が笛を吹きプレーを止める。
「はぁはぁはぁ……」
駆け寄りも謝りもせずに矢野は息をきらしながら倒れた未茉を睨む。
「矢野…」
控えメンバーは矢野の怒りと苛立ちに満ちた後ろ姿をただ見張るだけだった。
「だっ……大丈夫かっ!?」
「白石?!!!」
もの凄い衝撃に見えた監督や三年レギュラー達は大成戦にもはや勝つためには必要不可欠な未茉の安否が気になり駆け寄った。
「チッ。バスカンじゃねーか。」
シュートはリングから外れていたのを見た未茉は、何事もなかったように立ち上がり、舌を出して悔しそうにいい放つ。
「えっ……おまっ…大丈夫なのかっ!!?」
澄まし顔の未茉に監督や三年達が驚き口をパクパクしてる。
「あ?ユニフォーム引っ張られてつまづくなんて日常茶飯事だろ。たまに本気だされて禅とやった時なんて扉まで吹っ飛ばされるし。」
それより上等じゃねぇか。とバスケを楽しむ余裕すら感じられる彼女は、
「フリースロー決めてあと10点とって勝ちます。」
矢野を見上げながらニヤッと微笑むと、
(強くて美しい…!!)
キラキラとした眼差しでキタローは拍手を送る。
「ーー!!」
二年達はその迫力に息を飲むものもいたが矢野は目をそらした。
「手伝うよ。」
「キャプテン…!」
その根性に感化したのかポンッと未茉の肩を叩き、キャプテンとレギュラー組の三年は微笑んだ。
「よし、かかってこい!二年!」
「おっしゃあっ!!」
益々気合いの入った未茉は、手を叩いてゲームに挑んだ。



