「大丈夫?矢野」
二年の前原が野村監督にこってり絞られた矢野を気遣い声をかける。
「…大丈夫よ。次のゲームには圧勝するから」
タオルで顔を隠し、ベンチに座ると
「確かにムカつくけど、アイツ上手いね…キャプテンと一緒に白石が入るだけで攻守が安定する。」
思わず出てしまった前原の言葉に矢野は一瞬にして頭にきてタオルを彼女へ投げつけた。
「ふざけんな。」
「あ……ごめん……嘘だよ。次勝てるから大丈夫だって。」
フォローするも、矢野は睨みながらその優しさを振り切った。
「……」キャプテンはその二人の光景を背後から見ていたが何も言わなかった。
ピーーッ!!
大成戦でのレギュラーメンバー選考するこのゲームに普段は控えメンバーであっても、野村監督が色々試す起用に、レギュラーに入れるかもしれないと特に期待する二年として死ぬ気でこのゲームに挑む。
「うわ、さすが試合前。白熱してるな女子。」
ミニゲームとはいえ、もの凄い気迫のあるプレーに男バスの連中も横目で息を飲んだ。
「白石は本当に一年かよ…BIG3並みに恐ろしいな。」
「ああ…完全に二年の控え置き去りにしてるし。今年は行くんじゃねー?女子も。」
翔真はボール片手に黙ってミニゲーム中の未茉のプレーを見てた。



