アポを取り、江川さんに教えられた通り
アバンギャルドに向かう。


そこはオフィス街。大きなビルばかりでびっくり。


そのビルの一室に
アバンギャルドはあった。


受付の人に要件を伝えると、
小さな会議室に通された。


窓際の席に腰掛け
江川さんを待つ。


外には建ち並ぶビル。
のぞきこむと
下に見える歩道には
たくさんの人が行き交う。

みんなサラリーマンっぽい。


「うひゃぁ〜〜」

思わず変な声がでた。

あたしの知らない世界だ。



コンコン


ノックの音がした。


「こんにちわ〜」


ドアが開かれ笑顔がのぞく。

確かにあの時の…

オーディションをぶちこわしにした、
あたしはその顔を忘れていなかった。


「こんにちわ。よろしくお願いします」


あたしは立ち上がってあいさつする。


江川さんは向かいに立ち、
名刺を差し出した。

「わざわざ来てくれてありがとう」