オーディションの帰り、
柊にぃのバイト先のスタジオに寄った。


バイト先の連中に
紹介するんだって。


汗はすっかり引いていたけど、さすがに汗くさい感じがして気が引けた。

でも、オーディションでの出来事もあり、自暴自棄的気分だったので柊にぃに連れられて行く。



「コイツ、オレの妹デッス。
 今日の丸岡食品のCMオーディション落選したてのホヤホヤです」

…そこまで言わなくても…


「あ〜さっきいた子ね、
 こんばんわ!」


大きな瞳の女性に
話しかけられる。


「リナさん、今日はお世話になりました」

柊にぃがお礼を言ってる。


「いえいえ、こちらこそ!
 妹さんも大変だったでしょう。わざわざありがとうね」


あたしの顔をのぞきこむ表情には、好奇心が見えてる。


「あまり…お役に立てませんで…」


この人は
何歳ぐらいなのだろう。
柊にぃよりも年上かな。


「出てくれただけで十分よ」


いい感じの人だ。


「ぉおおおお〜?
 もしかしてもしかして
 女子高生!!!?」


後ろから声がした。

振り返ると、髭面のメタボ体が迫ってきてる。

びっくりしてちょっとのけ反った。