「なんで、なんで雫だったんだろうな」

「・・」

「他に死にたいって思ってるやつなんてたくさんいるはずなのに、なんで雫が死なないといけないんだろうな」

「っ」

その言葉になにも言えなかった。

死にたいって思ってたのはわたしだった。


「ごめんなさい」

「なんで鴻上が謝るの?」

「わたし、一度死のうとしたことがあるんです。7月に。屋上から飛び降りようとしてました。でも、死ねなかった。だから雫が代わりに死んだ。わたしのせいです」

「それは・・違うよ」

先輩はそれしか言わなかった。

多分それしか言えなかったんだと思う。