「美透ちゃんはロックが好きなのに、生き方はロックじゃないねぇ」

「曲たくさん作ってるのにバンドやらないクノさんに言われたくないです」

「バンド疲れるし、金かかるし、やるもんじゃねーよ」

「本当はやりたいんじゃないんですか?」


イライラが続いているせいか、クノさんにどんどん言葉をぶつけてしまった。

お互い声が大きくなっていったのか、他の生徒たちからの視線が向けられる。


げほん、と軽く咳ばらいをして、心を落ち着かせた。


「お前に何がわかるんだよ」


あきれた声が、ため息と一緒に吐き出される。

そのまま彼は私の目を見ずに、立ち上がりリュックを背負った。


「曲聴いてるから、わかります」


機嫌を損ねてしまったかもしれない。

でも、このことには自信があった。私は、彼の音楽が好きだから。


「ありがとうございまーす。俺のガチ恋ファンの美透ちゃん」


そう言い捨て、クノさんは図書室を出た。


私の想いは全く届いていない。悔しい。

どうしたら、彼はバンドをやる気になるのだろう。