透明ガールの活動休止を決めたのは、塵のような雪が舞う夜だった。


「じゃあ、いったん解散!」

「解散じゃありません!」


ミハラさんは透明ガールの活動のせいで、成績がガタ落ちした。

親にも激怒され、しばらくは大学受験に専念することに。


クノさんはしばらく東京に行くことになった。

スクリーミンズのボーカルさんより、サポートギターとしてライブに出てほしいと連絡が来たから。

大舞台を経験するためにも、彼はチャレンジを決めた。


私は、母が体調を崩し、しばらく仕事を休むことになったため、家のこととバイトに専念している。



『応募約2000組の中から、フェス出場を決めたのは……!』


コンテストの結果、透明ガールはフェス出場権を得ることができなかった。


負けた。

少し前からSNSで噂になっていた、地方の無名バンドに。


私たちの次に出てきたのが、そのバンドだった。

楽器を片付けてから、チラッと見ただけ。なのに度肝を抜かれた。


メンバー一人一人の圧倒的な演奏力が合わさり、自然と体が揺れてしまうグルーブを作り上げていく。

テクニカルかと思えば、歌はキャッチーなメロディー。

みんなでオーオーと叫べるポイントもあり、ボーカルが煽り、フロアにいた関係者たちをも巻き込んでいた。


圧倒的な差を見せつけられた。

全国のバンドと戦うには、私たちは経験も実力も足りていなかった。