「アンコール!」「アンコール!」


30分を駆け抜け楽屋に戻ると、3人ともへろへろの状態に。

アンコールを求める声と拍手が楽屋にも届き、その音はどんどん大きくなっていく。


「本当にごめ……」


椅子にだらりと腰掛けた葉山さんは、私たちに謝りかけたが。


「謝るくらいなら辞めないでくださいよ」


しゃがみこんだままのクノさんにそう言われ、彼は言葉を止めた。


それから、二人は黙り込んでしまった。

みんな私たちが再びステージに上がるのを待ってくれているのに。


「アンコール、行きましょう!」


中々動き出さない男二人にやきもきした私は、クノさんと葉山さんを引っ張り、ステージに戻った。


結局アンコールではクノさんはフロアにダイブするわ、葉山さんはドラムセットをばらばらにするわで、訳が分からない状態になっていたけれど、みんな笑顔のままで曲を終えた。


「ありがとうございました! 透明ガール最高でした!」


最後、葉山さんはステージに残り一人頭を下げた。

温かい拍手に包まれる中、彼は透明ガールを脱退した。