それから数日後、同じライブハウスで透明ガールのライブが行われた。
葉山さんが透明ガールで叩くのはこれが最後。
クノさんはちゃっかりしていて、新曲5曲分のドラムを彼に考えてもらったのだという。
『俺らも前に進まなきゃいけないんで』
クノさんがそう伝えると、葉山さんはツアーの合間に一人スタジオに入り、ドラムパターンをたくさん録音してくれたとのこと。
満員ではないけれど、たくさんのお客さんが私たちを待っていた。
スクリーミンズのメンバーも見に来ている。
「透明ガールってバンドです。よろしくお願いします」
いつも通り、クノさんの早口での自己紹介からライブは始まり、他はMCなしでオリジナル曲を矢継ぎ早に演奏する。
葉山さんと顔を合わせ、リズムを一致させる。
私のベースの腕も上がったようで、葉山さんは時々ニヤリと笑いながら楽しそうにドラムを叩いた。
初披露の新曲のタイトルは『SHORT KiLL』。
『蹴飛ばされた現実をかき集めて進んでやる
今に見とけ ぶちのめしてやるさ』
疾走感のあるドラムにクノさんの叫びが乗る。
私もせわしなく音を動かし続け、曲に奥行きを持たせた。
たくさんの頭が音に合わせて揺れている。手が挙げられる。
クノさんの歌はきっとお客さん一人一人に届いている。
透明ガールはもっと大きくなれる。
まだまだこれからだ。

