初恋エモ






とはいえ、ライブのお誘いがあっても、ドラムがいないと思うように活動ができない。


葉山さんと何とかスケジュールを合わせて、スタジオで曲を作り、ライブをする。

私たちも成長しているみたいで、ライブをすればする度にお客さんからの反応が良くなっていく。新しいお客さんも増える。

だからこそ、本数が少ないのは痛手だった。


「まだ順位、真ん中くらいです~」


アップしたMVを見て投票してくれる人はいるものの、私たちはまだ無名の存在。

CDを何枚も出して、全国をライブで回っている人気バンドにはとうてい及ばない。


私たちの投票順位はまだ三桁台。

投票期間は2ヶ月くらいあるから、まだ挽回のチャンスはある。

なんとかしなければ!



「美透ちゃんこっちこっち~!」


久々に翠さんとお昼を一緒することになり、いつもの階段へ行くと、ミハラさんもいた。

三人で階段に座り、お昼を食べることに。


「ドラムの人、透明ガールを続ける気はあるの?」

「たぶん。スタジオ来たら一生懸命やってくれます。しかも楽しそうに」


真剣に話を聞いてくれるミハラさんの隣で、翠さんはもくもくとスマホをいじっている。


「じゃーん! 投票しといたよ! 書き込みもしといた!」


そう言って、翠さんは透明ガールの投票ページを私たちに向けた。


「わー! ありがとうございます!」


どれどれ……


『美透ちゃん頑張れ♡応援してるよ°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖また遊ぼうネ♡』


おお、なんて身内感まるだしのコメントなんだ!

でも、ありがたい。嬉しい。


クノさんと別れた後も翠さんは時々ライブに来てくれる。

今は彼氏とも順調らしく、気持ちも安定しているとのこと。良かった。