参道から少し離れると人が減った。

「人、多すぎるよな」

 彼はそう言ってTシャツの襟をパタパタとさせた。

「祭り嫌いなのか?」
「そうじゃないけど」

 彼が僅かに私を見上げているのが悲しい。ほんと、私、大きくて可愛くない。

「なんで泣きそうな顔すんだよ?」

 彼の困った顔。

「……」
「……」


「願いごと叶うといいな」

 私はコクリと頷いた。彼は何を願ったのかな。

「戻るか」

 彼が言って、私はちょっと寂しく思いながらも頷くしかなかった。

「来年はさ」

 彼がこちらを向かずに口を開く。

「俺、背、高くなってるから、二人で来ようぜ」

 そして、手を差し出した。

「!」

 私迷ったけれど、はおずおずとその手に自分の手を重ねた。

「返事は?」
「はい……。お願いします」


 願いごと叶いますように。


                                 了