「しめていて」

 カーテンはあけない。

 人と目も合わせられないこいつを、弱虫と一蹴したやつがいた。

 その通りだ。そう思った。

 そんな些細なことさえ、飲み込めず溜め込めず、弱虫は俺の前で死にそこなってみせた。

 日々の生活のなかで、はみ出す勇気も持ち合わせないこいつの唯一の抵抗と言えば、俺の前で千切れて見せるくらい。

 学生の時に弱虫を体現させた寂しがり屋の左腕の傷を撫で、浮かれるように弱さに浸る。

 そんな姿が堪らないく憎くて。

 憎くて、俺は。