「いらっしゃいませ」

カウンターに立っていた店員さんに案内され、わたし達はテーブル席についた。


おそらくこの人がマスターだろう。
このお店の雰囲気に馴染んでいて、優しそうだけど威厳がある、そういった感じだ。

少し古い建物だけど、それが逆にいい味が出ている。

可愛いアンティークが店を飾り、カウンターを覗くとコーヒーがドロップされる様子が見れる。

決して広々とはしていないけど、落ち着きのある雰囲気で、優雅なひと時が過ごせそうな感じだ。


「よぉ」

「あ!翔也」

白いシャツに黒のエプロンを着て、いかにも喫茶店に馴染んでいた。


「元気?」

「元気元気。お二人さんも元気そうで」

久しぶりに3人で顔合わせたことに嬉しくなり、わたし達は見つめ合うなり微笑んだ。


「なに飲む?」

「おすすめとかある?わたしあまり苦いの苦手で…」

「まあオススメはブレンドコーヒーだな。苦いの苦手なら、紅茶とかにする?」

「そうね…」

美希ちゃんはもらったメニューをじっと眺めた。