会長候補はSweets☆王子!?

「さあ、どうぞお嬢様」

「ありがとう。アドルフォさん」


 カップを差し出す、ただそれだけの仕草も気品あふれるエレガントさです。

 お父様が、晩餐会やパーティーで、必ず彼に全てを取り仕切らせるのも分かります。

 胸元から、プラチナシルバーの懐中時計がチラッと輝いています。


(まるで、『不思議の国のアリス』の三月うさぎさんみたい)


「真希お嬢様、何か悩み事でもおありなんですか?」


「えっ!?」


 あたしは、唐突なアドルフォさんの質問にビックリしてしまいました。


「私には、何となく分かりますよ。
 最近、真希お嬢様の日常の価値観を変えるような、そんな大きな出来事があったでしょう?」


 口元に小さな笑みを浮かべ、あたしをサッと見つめる一瞬の流し目。 
 その視線に射すくめられたように、あたしはゴクッと喉を鳴らして、ミルクを飲み込みました。

「え、分かりますか?」

「勿論。旦那様や奥様、真希お嬢様の何気ない変化に気づけないようでは、この仕事はやっていけませんからね」

 自信満々に言い切るアドルフォさんの表情には、研ぎ澄まされたプライドと意識の高さが感じ取られます。