「美味しかったに……決まってるじゃない!!」
「ありがとな」
あたしは本当にどうかしてたんだと思う。よりにもよって、諸悪の根源(しょあくのこんげん)である池永君の胸元に飛び込んで、ワーッと泣き叫ぶなんて。
(『真希お嬢様、そのスウィーツ職人を目指してる少年は、早くに両親亡くされてから、育ててくれた祖父母の為に、一度は閉店した老舗和菓子屋を再建させようと、ずっと小さい頃からお菓子作りを勉強されておられるんですよ』)
アドルフォさんが以前説明してくれた、健気なアルバイト男子高校生が、まさかこの池永君のことだったなんて。
(『……いつも、学校の女の子たちに試作品のお菓子を食べてもらっては、感想を聞いて回るくらいに研究熱心なんです。
美味しい物食べてる時、幸せそうな顔するお友達を見るのが、一番幸せだって言ってますよ』)
ねえ? どうして?
「俺さ、やっぱ立候補届取り下げるわ。これじゃあ、どっち付かずだもんな。
大内ちゃんが言ってたことは正しいよ。俺は人の上に立てる存在じゃねえし」
苦笑いする池永君に、あたしはとんでもないことを言っていた。
「ふざけないでよ!! ここまで来たからには、ちゃんとたたかって見事に敗北しなさいよ!!
……あなたは、作りかけのケーキをオーブンに入れずに、キッチンに放置するの?」
「ありがとな」
あたしは本当にどうかしてたんだと思う。よりにもよって、諸悪の根源(しょあくのこんげん)である池永君の胸元に飛び込んで、ワーッと泣き叫ぶなんて。
(『真希お嬢様、そのスウィーツ職人を目指してる少年は、早くに両親亡くされてから、育ててくれた祖父母の為に、一度は閉店した老舗和菓子屋を再建させようと、ずっと小さい頃からお菓子作りを勉強されておられるんですよ』)
アドルフォさんが以前説明してくれた、健気なアルバイト男子高校生が、まさかこの池永君のことだったなんて。
(『……いつも、学校の女の子たちに試作品のお菓子を食べてもらっては、感想を聞いて回るくらいに研究熱心なんです。
美味しい物食べてる時、幸せそうな顔するお友達を見るのが、一番幸せだって言ってますよ』)
ねえ? どうして?
「俺さ、やっぱ立候補届取り下げるわ。これじゃあ、どっち付かずだもんな。
大内ちゃんが言ってたことは正しいよ。俺は人の上に立てる存在じゃねえし」
苦笑いする池永君に、あたしはとんでもないことを言っていた。
「ふざけないでよ!! ここまで来たからには、ちゃんとたたかって見事に敗北しなさいよ!!
……あなたは、作りかけのケーキをオーブンに入れずに、キッチンに放置するの?」
