「……で、犯人は見つかったんですか?」
リョウさんは声のボリュームを最小にして、アドルフォさんの耳元に囁く。
「いえ。でも、旦那様の……矢田部先生を狙った政治的テロであることだけは間違いないようです」
「ああ、例の『レアサンド』とかいうヤツですね?」
「ええ」
「ま、難しい話は美味しい物を食べてからってことで、ね?」
店長さんの奥さん・カナさんが、コルクボードで出来たメニュー表を持って来てくれた。
パタンと折り畳むと、大きな教会みたいなシルエットになって何だかオシャレで素敵。
「サグラダ・ファミリア大聖堂の形を模したメニュー表ですよ。
凝ってるでしょ?」とアドルフォさん。
「あ、その建物、学校の歴史の時間に習ったことがあります。
まだ何百年も掛かっても完成してない教会なんですよね?」
「はい。アントニオ・ガウディの最高傑作です」
ギターをかき鳴らすBGMに、聞きなれない言語の喧騒、そしてちっとも不快じゃない、心地良い熱気。
さっきまでの現実が嘘みたいに思える。もしも、全部が嘘だったら……どんなにか楽なんだろう。
リョウさんは声のボリュームを最小にして、アドルフォさんの耳元に囁く。
「いえ。でも、旦那様の……矢田部先生を狙った政治的テロであることだけは間違いないようです」
「ああ、例の『レアサンド』とかいうヤツですね?」
「ええ」
「ま、難しい話は美味しい物を食べてからってことで、ね?」
店長さんの奥さん・カナさんが、コルクボードで出来たメニュー表を持って来てくれた。
パタンと折り畳むと、大きな教会みたいなシルエットになって何だかオシャレで素敵。
「サグラダ・ファミリア大聖堂の形を模したメニュー表ですよ。
凝ってるでしょ?」とアドルフォさん。
「あ、その建物、学校の歴史の時間に習ったことがあります。
まだ何百年も掛かっても完成してない教会なんですよね?」
「はい。アントニオ・ガウディの最高傑作です」
ギターをかき鳴らすBGMに、聞きなれない言語の喧騒、そしてちっとも不快じゃない、心地良い熱気。
さっきまでの現実が嘘みたいに思える。もしも、全部が嘘だったら……どんなにか楽なんだろう。
