会長候補はSweets☆王子!?

「何か……悪かったな」

 いつになくションボリした池永君は、そのまま黙り込んで掃除を続けた。


(何よ? これじゃあ、あたしの方が悪者になったみたいじゃん!)


「池永、お前まさか今日もバイト入ってるんじゃないだろうな?」

「うん、まあ」

「話にならん」荒々しくノートパソコンを閉めると、大内君は机の上のファイル類やノートを片付け、カバンにしまい始めた。


「矢田部さん、今日は……いや、今日でおしまいだよ。解散!」

 投げやりに両手をパシッと叩き、肩をすくめる大内君。
 あたしも置いたばかりのカバンを手に取って、池永君をチラリと見た。

 
 ホウキを持つその手は、よく見るとあちこちがささくれ立っていて、指先にひび割れとばんそう膏のあとも確認出来る。

「頭冷やしたら、俺の所に『立候補辞退届』持って来い」

 感情を押し殺した冷たい声で言い放つと、大内君は生徒会室のドアを引いた。


「……」池永君は押し黙ったまんま。


「さ、矢田部さんも災難だったな。出よう」

「は、はいっ」


 一人きりで掃除をしている池永隼人君の背中を、あたしはじっと見ていることに気付いた。

(解放されたのに、どうしてこんなモヤモヤした気持ちになるんだろ?)