「池永隼人、アンタの考えはよく分からないけど、一つだけ忠告しておく」

「うん。何?」


「……あんまり、調子乗るなよ」

 そう言った林君の横顔は、今までに見たことない位、ゾッとする迫力があって、普段の爽やかで優しい彼とは別人みたいに思えました。


「さあ、真希ちゃん。行こう」

 あたしの右手を掴む林君の力が思った以上に強くて、あたしは一瞬ひるんでしまいました。


「チーマキちゃん、やっぱり俺なんかじゃ駄目か?」

 左側から池永君に声を掛けられます。
 その表情は、ちょっぴり力がないような風にも見えました。

「もし、俺が生徒会長になったら、チーマキちゃんや彼氏や、他のみんなも……もっと堂々と校内でイチャイチャして、ラブラブモードでいられるようにしてやりたいんだけどなあ」


 林君は小さく苦笑いすると

「意味不明なことばかり言わないで欲しいね。
 生徒会長選挙の夢を見る前に、もっと自分自身のことを考えたらどうかな」


 大内書記さん同様、林君もこの夢想家・池永隼人候補予定者に、キツイ捨て台詞を残します。