屋上に続く階段に着いた。


 あの踊り場を曲がった先に
 結愛さんがいるかもしれない。


 そう思うと
 ドキドキが止まらない。


 俺は外まで聞こえそうなほど
 うるさく飛び跳ねる心臓に手を当て
 階段を一段一段上っていった。



 踊り場までついて
 曲がった階段の先を見上げみると。

 そこには
 あの眠り姫がちょこんと座っていた。
 

 ノートを広げて
 うつむきながら何かをひたすら書いている。



 どうしよう……

 
 すっごく結愛さんに会いたいのに……


 ドキドキが激しくて
 声をかける勇気が出てきてくれない。


 一度、隠れよう。

 心臓が落ち着くまで、
 もう一度階段を下りて隠れよう。


 そう思って階段を下りようとしたとき


「あ!」


 階段を踏み外して
 とっさに声がもれてしまった。


 手すりになんとかつかまり
 転ばずに済んだ俺。


 顔を上げると
 結愛さんが心配そうな瞳で
 俺を見つめていた。