100パーセント
 俺を産んだ母親でないことはわかる。


 でも、頭を高速フル回転させて
 記憶を巻き戻しているけど。

 俺の人生の中で
 この人に会った記憶なんて出てこない。


 頭にハテナマークだらけの
 俺を無視して
 ハイテンションの学園長。


「どうしましょう。

 十環くんが私に
 会いに来てくれるなんて……

 この日をずっとずっと夢見てたのよ」



 もしかしてこの学園長……


 一方的に俺のことを知っているだけの
 ストーカー?



 全く面識のない俺に
 『明虹学園に入って』とか
 『学費免除』って言ってくるあたり
 胡散臭いと思っていたけど。


 やばいストーカーに
 俺は捕まってしまったのかもしれない……



「一颯くんから聞いたわ。

 十環くん
 この学園に入学してくれるんでしょ?」


「……」


 学園長を前に
 身の危険を感じて
 『入学させてください』と
 言えないというか。


 言ってしまったら
 このストーカーに
 この先何をされるのかわからない。


 とてつもなく重苦しい
 恐怖感みたいなものに襲われて
 冷汗がじっとりと
 背中を伝っている。


「あの……

 教えてくれませんか?

 なぜ俺なんですか?」


「え?」


「学費を免除までして
 なんで俺を明虹学園に
 入学させたいんですか?」