ぐったり。


山勘、一夜漬け…
そんなのも、今日はどうでもいい。

寝不足で眠い、だけど、とりあえず



「終わったー!!!」

教室を出て叫んだ


「後は野となれ山となれ」
そう言った私に


「いや、追試あるらしいよ?」

さっちゃんがそう言う。


「今日だけは、忘れさせて?」


「はは!だね!」


「さっちゃん、部活は?」


「先生のご意向で今日までは休みー!」


「おおー!時代を先取るホワイト部活ですね!」


「何か食べて帰ろう!」


「賛成!!紗香、呼ぶ?」


「声掛けるか。うるさいから」


「あはは!紗香にとって唯一の情報源だからね。」


ふっちーの情報源。

特に新しい情報なんてないけど。


……って、ある!


言っていいかな?


“ふっちーがモテてる”って事くらいは。






「はいはーい!何か久しぶりぃ!!」

いつになく、紗香はハイテンション。


「何、良いことでもあったの?」
さっちゃんがそう聞く。


「テストが終わった。違う意味でも終わった。チーン。だけど、来週はふっちーに会える!!」


「終わったの回、テスト。会えるってか、隠れて見るだけでしょ、どうせ。追試が放課後とかなら、見に来れんの?」

さっちゃんが紗香の痛いとこを連突きして


「ギリギリ、ギリギリでいいから追試逃れたい。そして、ふっちーが見られるなら、耐えて見せる」


「何に耐えるのよ…」


「もしかして、人間関係?」

私は斉藤さんの話を思い出してそう聞いた。



「……テスト前にAくんから告白された」


「……わっ、どうしたの、それ…」


「B子には……言ったの?」



「勿論、私はふっちーが好きだから断った。B子には、何か悪いなって思ったけど…正直に言った。えっと、さっき。B子のテストに影響が出ないように」


「うん、それが正しいと思う」


「こればっかりは、仕方がないもんね」


「うん、紗香のせいじゃないよ」


「うん、B子がそう思ってくれたらいいんだけどね」


「分かってると思うよ、きっと」


「分かってると思う。だけど、分かっててもどうしようもない気持ちってあるわけでさ。ギコいわ、テスト期間で良かったけど…週明け…どうしようかなって感じ」



ああ、どこもかしこも…

モテる男はいて、大変だ。


女子の人間関係も、大変だ。