金奈総合病院。


 一樹が車で悠を連れてきた。

 電話連絡をしていた事から、到着するとすぐに対応してもらえた。




 病院には悠の担当医師がいた。

 眼鏡をかけたインテリーっぽい中年の男性医師がやって来た。


「お身内の方でしょうか? 」

「は、はい」


 尋ねられちょっと戸惑った一樹だが、迷わず返事をした。


「そうですか。それならお話しますが。以前より、随分良くなっていて驚いています」

「は…はぁ…」

 なんの事なのか分からなかった一樹だが、平然を装い知っているふりをした。

「一時は肺炎が悪化して、命が危なったときもあり。心臓も弱っていたので、とても心配していました。先日、風邪をこじらせたと言って受診した時も心音がかなり乱れていたので。しばらく入院してもらう話も、しておりましたが。今日は自分と良くなっていて、以前の症状が嘘のようです」


 そんなに悪かったのか…。
 そう言えば美恵さんが、どこか悪いのでは? って心配していたな…。


「今日は何かショックなことがあったのでしょうか? 」

「あ、いえ…。すみません、途中から来たので。前後の事が分からなくて」

「そうでうすか。今は落ち着いていますので、目が覚めたらお帰りになって構いませんよ。あまり無理をさせたり、心労を当てることは避けて下さいね。せっかく元気になってきているのですからお大事にされて下さい」

「はい、分かりました」