翌日。

 悠はすっかり元気になり、仕事に復帰する為に一樹と一緒に仕事に向かった。



 いつものように男性の姿で出勤してきた悠。

 一樹は所長室へ向かった。



「悠君、もう大丈夫なの? 」

 美恵が心配して寄ってきた。

「はい、すみませんでしたご心配をおかけして」

「よかったわ元気になって。みんな、悠君がいないと元気がないんだから」


 
 悠は自分の席に座った。


「あら、末森君。元気になって良かったわ」

 京香が猫なで声で近づいて生きた。

「ねぇ末森君。ちょっと報告があるんだけど、聞いてくれる? 」

「なんですか? 」


 パソコンの準備をしながら、悠が返事をすると、京香はニヤッと笑った。

「あのね、私。所長と婚約したの」

 はぁ? 

 驚いて悠は手を止めた。

「ほら見て、婚約指輪もらったのよ」

 悠の目の前に、左手の中指にはまっている綺麗なダイヤモンドの指輪を見せて、京香は満足そう笑っている。



 悠は指輪を見て違和感を感じた。

 高そうなダイヤの指輪だが、なんとなく冷たい感じが受けた。


「やっぱりあの宗田ホールディングの、社長の息子は違うわよね。婚約指輪も、百万単位だもの。私が相応しい女性だって、ちゃんと分かっているのね」


 悠はそっと目を反らした。