スッと、一樹の手が悠の服の下から入ってきた。


 ちょっと…。
 
 ギュッと一樹の両腕を悠が掴んだ。


「あ…ご、ごめん…」


 ハッとして、一樹は手を出した。


 恥ずかしそうに、悠は顔をそむけた。


「ごめん…止まらなくなったんだ…」

「…いいえ…」


 さっきまで青白かった悠の顔が、血色を取り戻していた。

 そんな悠を見ると、一樹の中でとめられない気持ちが込みあがってきた。


「悠里…愛している…」


 ひょいと、一樹は悠を抱きかかえた。


「ちょっと…あの…」


 止める悠の声も聞かないまま、一樹はそのまま寝室へと向かった。





 そっとベッドに湯を寝かせると、熱い目で見つめて来る一樹…。


「悠里…一緒に、幸せになろう。…お前が悪魔でも、天使でも、そんなことはどうでもいい。俺はお前がいてくれるだけで、幸せだ。…ずっと…お前の事、夢で見ていたよ」

「夢で? 」

「ああ…。10年前、彼女が事故で亡くなった後からだったかな? ずっと、夢に出てきていた。だからあの公園で会った時は、本当は驚いて…まさか、俺の事務所に来てくれるなんて、夢にも思わなかった…」

「そんなこと…」

「認めてなかったのは俺のほうだ。お前が、あんまり綺麗すぎるから。失うことが怖くて…だけどもう引かない。…ずっと、傍に居るから…」


 胸がいっぱいになり、悠の頬に涙が伝った。