私は諦めて話しかけた。



「あのね、私と成海くんじゃ立場が違うの。だから、もう話しかけないで。メールとかも送らないから」


早口でつぶやくように言うと、私は靴を取り出してそのまま歩き出した。



「ねぇ、待ってよ」



「嫌、ついて来ないで」



彼の諦めの悪さにため息をつきながら、私は早足に歩いた。



でも、身長が高いから一歩が大きい彼にあっという間に追いつかれてしまった。



「なんで話しかけるの?あなたならよりどりみどりでしょ!? 私じゃなくても……」



「ダメだよ。俺は昨日、俺が体調悪いことに気づいてくれた姫内さんと話したいんだから」



真剣な瞳で、声でそんなことを言われたら、きっとみんな彼に恋しちゃうんだろうなぁ。



でも、私はそんなことにはならない。



「お断りします!」



「じゃあ、なんで俺とは話してくれないの?」



「……私、男子とはなにも話したくないから。周りの女子からの視線が怖いし」