「ねぇ」



この声はまさか……。



思考が止まりそうになりながらも後ろを恐る恐る見ると、そこには私の予感が的中してしまっていた。



「な、なにか用?」



今日は部活がなかったから、ホームルームが終わってすぐに家に帰ろうと昇降口に向かった私が、靴箱の前に行くのを見計らってこちらに来たみたいだった。



動揺を悟られないように、彼に背を向けようとした。



「待って。姫内さんは俺のこと、嫌い?」



「え……っ、どうして?」



「だって、今も俺の目を見てくれないし、メールとかも送ってくれないし、朝のプレゼントも気に入ってもらえなかったみたいだったし……」



彼はとても苦しそうな顔をしていた。



「それは違う!」



朝のプレゼントを私が気に入らなかったって思われるのは嫌だったから、ついとっさに否定してしまった。



あっ、と思ったときにはもう遅かった。



「なにが違うの?俺のこと嫌いじゃないってこと?」