「おっはよー、桃音!」



後ろから大きな声で呼ばれて慌てて振り返ると、そこには親友の真凛が立っていた。



「真凛、おはよう」



私が声をかけると、真凛はセミロングの髪の毛をふわふわとゆらしながら、笑顔で駆け寄ってきてくれた。



「今は何の本読んでるの〜?」



「これはフィギュアスケートの話だよ。幼なじみの男女二人がフィギュアの世界を通して、切磋琢磨しているうちにいつの間にか恋が芽生えてきて……みたいな話!まだ半分くらいしか読んでないんだけど、あと三日くらいで読み終わるからそのあとでよかったら貸すよ」



「わぁ〜、ありがとうっ!私この本最近本屋さんで見かけたよ。発売したばかりなの?」



「うん、先週発売した本だよ」



「読むの楽しみ〜!あれっ、一時限目って英語だっけ!? 宿題終わってないかも!ちょっとやってくる〜」



バタバタと自分の席に走っていった彼女を見て、私も英語の予習でもしようかなと教科書を開いた。