相手を気づかう能力が高いというか、空気が読めるというか、人の感情にとても敏感なんだ。



だから真凛は、私の心の曇りに私が少し声を発しただけで気づいてくれた。



だから、そんな心優しい真凛になら私の過去を話してもいいと思って。



暗くて苦しくて、思い出しただけで泣きたくなるような、そんな私の過去を。



「あ、あのね。真凛にちょっと聞いてほしいことが……」



ーーリーン ゴーン



私がよくやく決心して話し始めたのに、すぐにチャイムがなってしまって。



「……あ、またあとでいいよ。教室戻ろうっ」



私の決意は簡単にゆらぎ、今はタイミングが悪いよねなんて自分を無理やり納得させて、そそくさと立ち上がって教室へと戻った。



私なんで親友にも本音を言えないのかな……?



真凛のこと、本当に信頼しているなら言えるんじゃないの?



それとも、私はまだ真凛のことさえ心からは信じられてないの……?



自己嫌悪におちいりそうで、私は慌てて頭の中を真っ白にした。