「本当にありがとう!また話そうな。帰り道、気を付けて」



「うん、またね」



私は物語の最後のページを閉じるように、ゆっくりと保健室のドアを閉めた。



もうきっと、関わることのない人。



キラキラな彼と、一般人の私。



本来なら交わることのなかった私たちが、今日何かのいたずらで巡り合った。



けれど、こんなことはもうないから。



だから、今日のことはひっそりと思い出として心にとどめておこう。



それにしてもイケメンなのに、性格は悪くなさそうだったなぁ。



つい最近、真凛にあの人は性格悪そうなんて言ってしまって申し訳なかったな。



容姿が整っている人でも優しい人っているんだね。



たぶん私の運が悪かっただけ。



初めてできた彼氏が、私の容姿にしか興味がなかったなんて。



そんな不運が私にもう二度と起きないように、私はだれとも付き合わないって決めたの。



夜空を見上げたら、なんだか無性に泣きたくなった。



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໒꒱



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