そういえば、顔にはじっとりと汗をかいているし、つらそうな表情をしながら目を閉じている。



なんで?きっと体調が悪いことなんて、すでにわかっていたはず。



それなのに、どうしてこんな時間にまだ学校に残ってるの?



彼が今着ているのはサッカー部のジャージだ。



今までこんなに具合が悪い中サッカーの練習をしていたのかと思うと、同情を通り越してあきれてしまう。



なにか、理由があるのかな?



こんなに具合が悪くても練習している理由が。



彼が目を閉じている間、色々なことを考えたけれどさっぱり理由が思いつかなかった。



しばらく経ってから、私は彼に再び声をかけた。



「あの、そろそろ大丈夫ですか?」



私の声が震えていることに気づいて、少し恥ずかしくなった。



「あぁ、だいぶ落ち着いてきた。ありがとう」



彼はゆっくりと目を開けた。



まるで王子様が目覚めるかのように。