「じゃあ、俺たちは勉強を始めよっか」



「うん!」



「今日は数学だっけ?」



「そうだよ。特にわからなかった問題があって……」



「あぁ、ここはね……」



桃舞くんが、ゆゆちゃんよりも私に微笑んでくれた。



そんな事実がどうしようもないほど嬉しくて。



自然と笑みがこぼれそうになるのを必死でおさえた。



ゆゆちゃん、ごめんね。



私はまた、心の中でゆゆちゃんに謝っていた。



「今日はアップルパイだよ!」



勉強を始めてから一時間半ほどが経つと、私はバッグからアップルパイの入ったタッパーを取り出した。



ふたを開けたら、りんごのあまずっぱい香りが広がった。



図書室は飲食禁止だけれど、この勉強スペースは飲食をしてもいいとの許可があるから遠慮なく食べた。



ひとくちかじったら、サクッと音が聞こえて。



焼き加減も絶妙だったし、りんごの甘さも味見したときは美味しかったし大丈夫だよね……?