「えぇ〜、まぁ私も食べるのは楽しみだけどさ。でも、たくさんできるよ?少しくらい誰かにおすそ分けしてもいいんじゃない?」



残念そうな顔をしている真凛を見て少し悲しくなった。



「……じゃあ、真凛にあげるね?」



「桃音ありがとう!って、そういう意味じゃないのに〜っ」



「あはは」



私が誰か男子にカップケーキをあげることを真凛は期待してるんだよね。



そんなの気づいてるよ。でもごめんね。



私は誰にもあげるつもりはないし、今後もきっと渡すことはない。



生地を作って、それをアルミカップに入れてオーブンで焼く。



カップケーキはとても簡単だし、失敗もしづらい。


火加減さえ間違えなければ、大抵は美味しくできる。



チーンとオーブンから音が聴こえてきて、私がオーブンを開けた瞬間、ふわぁっと甘い香りが部屋中に広がった。



「美味しそう!早く食べたい〜」




「よかった、焦げてないみたいだね」