桃舞くんがため息をつくなんて……。



べつに桃舞くんに完璧を求めているわけでは、全然ないんだけれど。



でも、まだまだ私が知らない桃舞くんの姿があるんだなと感じたらなんだか無性に悲しくなって。



私が知らない桃舞くんの姿を、彼女が知っていることが苦しかったんだ。



……これってまさか、独占欲?



そう思ったらなんだかこの感情も特別なものに思えてきて。



「北沢さん、とりあえず帰ってくれる?俺たち勉強してるんだから」



北沢さんはポンっと手を打った。



「あっ!じゃあ私も勉強するねっ。いいよね、姫内さん?」



「えっと……まぁ私は構わないけれど」



「姫内さん、ありがとう〜」



あれ、私自己紹介したっけ?



「あの、私の名前……」



「あぁ、有名だからね、姫内さん。可愛いのに告白したらにらまれて一刀両断されるって!」



……まぁ、たしかにね。



今は告白されても、断るだけにとどめているけれど。