「……ごめんね、こんな暗い話しちゃって。せっかく楽しい水族館デートだったのに」



私は顔をふせた。



きっと私は泣きそうな顔をしているから。



優しい成海くんは私がそんな顔をしていたら、なぐさめてくれてしまうから。



久しぶりに思い出した私の初恋の記憶。



もう結構な時間が過ぎているはずなのに、私の記憶や辛さは全然弱まったりしていなくて。



むしろ、思い出せば思い出すほどに辛い記憶ばかりが印象深く刻まれてしまっているような、そんな感じがして悲しくなった。



たしかに最後は辛くて苦しくて思い出したくもない思い出となってしまったけれど、その前はずっと幸せいっぱいな毎日だったのに。



その幸せいっぱいだった日々の記憶ばかりが薄れてしまっていて。



その事実がさらに私を打ちのめした。



その日以来、男子にはだれにも心を開けなくなってしまった。



信じてもどうせ裏切られるんだろうなと思ってしまうから。