勉強を始めると没頭してしまって、ずいぶん時間が経った。



喉が渇いたから、水筒だけを持って図書室から出た。



図書室からサッカー部の部室はすぐ近くで、私はもしかしたら岩崎くんがいるかもしれないと思って、少しだけのぞいてみようとるんるんとした足取りで向かった。



部室に近づいて行くにつれてだんだん男子の声が聞こえてきて、部室に男子が何人かいることはわかった。



じゃあ、岩崎くんもいるかな?



ドアをノックしようとした瞬間、岩崎くんの声が聞こえてきて。



「だからさ、俺はあいつのことなんてべつに好きじゃねぇし」



思わず手を止めた。今のあいつって……だれのこと?



「だって、俺につり合う女って桃音くらいだろ?でも、可愛いだけで一緒にいてもぜーんぜん楽しくないけどね〜」



あははと盛大に部員が笑ったのが聞こえたけれど、私の頭には彼のさっき言っていた言葉がグルグルと回っていた。