<プロローグ>

「ママ~。幼稚園まだ行かないの?」

食器を洗っている私の下に走って来たのは愛娘の陽奈(ひな)
陽奈ももう4歳。
どうにか4年間、私はたった1人で陽奈を育ててきた。

「ねぇママってば~!」

「あ、ごめんごめん!ママぼうっとしちゃってた!行こうか~」

「うんっ」

車に乗り込み、幼稚園へと向かう。


...ぼうっとしていたなんて言ったけど、そんなんじゃない。

少し思い出していた。4年前の事を。


「...っ!」

それをかき消すようにBGMの音量を上げた。



「幼稚園頑張ってね、陽奈」

「うん!ママもお仕事頑張って!!」

陽奈を無事幼稚園に預けた後、そのまま職場へと車を走らせた。