子供ながらによくわかっていた。
お家でも、空気を読むのは得意だったから。
パパとママの機嫌が悪いと、何も知らないみたいに、子供っぽく無邪気に。
そうすると、パパもママも笑ったから。
学校では逆。
無邪気さや知らないふりは通じない。
瞬時に察して、場の空気を乱さないようにしなきゃならなかった。
自分の居場所を無くさないように必死に。
パパやママ、友達、誰にも嫌われたくなかったから。
『海風ちゃんって、遥琉くんのこと好きなの?』
そんな問いに笑顔で。
『全然!好きじゃないよ!』
『でも遥琉くんは、海風ちゃんのこと好きかも』
『そんなわけないよ。私、ハルちゃんみたいに可愛くないし、かっこ悪いところたくさんみてるし。普通、好きな子の前ではかっこつけるもんでしょ?』
とかなんとか、どっから引っ張ってきたのかわからないセリフをペラペラと喋って。
とにかく必死だった。
結局、私と遥琉が話しているのをグループの子に見つかってそれをバラされてから、グループからは一斉に無視されるようになって。
それは5年生に上がるまで続いた。



