「……じゃ、私行くから!行こ依茉ちゃん!」
私は、遥琉に早口で声をかけてから、すぐに依茉ちゃんのもとへと駆け寄って彼女の腕にギュッと腕を回した。
「え、ちょ、A組に用事あったんじゃ」
「もう終わった」
「終わったって……まだ話途中だったよね?っていうか話してたの、あの有馬 遥琉?」
「依茉ちゃん、いいからちょっと来て!」
遥琉に見えないところに一刻も早く逃げたくて、依茉ちゃんを引っ張りながら自分の教室へと急ぐ。
中学の途中に転入してきた依茉ちゃんに、私と遥琉の関係について話したことは一度もない。
必要がなかったし。
でも、今回ばかりは話すことになるのかも。
依茉ちゃんに隠しごとなんてしたくないし。
依茉ちゃんと過ごせる貴重な時間を、あんなやつのことを話すのに使うなんて、時間も息も超絶もったいないけれど。
……よし。
私は、大好きな親友に、ずっと心の中に閉まっていた気持ちを話すことを決意した。



